32-20 Blues
ある友人は、バイクで空を走る。 
風に乗り、ひらりと空を渡る。 
ボクは真似する。 
「へたっぴだな。」友人は言う。 
当たり前だ。真似しようと思うだけで偉いと思うよ。 
空はいつも灰色だ。 
“杉並スモッグ”だ。 
夜、星を眺める。 
瞬きを3回した時、目を開けたらすぐそこに星がせまっていた。 
「ん?」 
死んだのか? 
次の瞬間、星がビューンと、凄い速さでとうざかった。 
「あー、そーゆーことですか・・・。」 

ある友人は、幽霊の友達にそっくりだ。 
時々、本人じゃないかと思うことがある。 
ボクが手術を受けるため、入院する数日前に彼は現れた。 
「気をつけろ。忘れるな。思い出せ。」 
青い顔。白いワイシャツ。ボサボサ頭に骨ばった身体。 
30年以上経って、未だ何のことか解からないままでいる。 
だから幽霊の友達は、ボクの前に友人を出現させたんだ。 
きっとそうに違いない。 
と、言うことに昨日、気が付いた。 

ある友人は、モンキーだ。 
そして、ボクはただのイヌだ。