ピクレルジュラの今更これを聴け
text by ピクレルジュラ もどる
第9回 スクリッティ・ポリッティ/キューピッド・アンド・サイケ85

80年代半ばを代表する今更盤です。
スクリッティ・ポリティです。
彼らの傑作セカンド。個人的にはこの前の
アルバムや初期のシングルのほうが好きだし
ずっと聴きこんだが、セールスは圧倒的に
これでしょうね。
ポストパンクの超ポップサウンド。当時の
最新鋭のシンセやエフェクト、そして上手い
ゲストミュージシャン。それらをバックに
例のミッキーマウスみたいなグリーンの声が
歌うわけです。
グリーンの声はマイケル・ジャクソンを更に
脱色したような味わいがあります。
スカスカだった初期のサウンドとは対照的に
沢山の音で緻密にアレンジされています。
ある意味説明過多の音。想像の余地のない音の
洪水です。でも心地よい。
今聴くとまたいいんですね。これはこれで。
キラキラした時代を反映しております。
日本ではニューアカというか浅田彰あたりを
思い出させたり。講演会を聴きに行ったとき会場
で流れてたからね。行ってないけど、つくばの
科学博とか思い出すね。
ところで当時も指摘する人いたが、タイトルの
読みはこれで良いのか?サイケではなくプシュケー
ではないのか。まぁいいか。グリーンらしいタイトル
だね。彼はインテリだということは良く知られた
ことだ。ジャック・デリダなんて曲もあったね。
実はこのアルバムに先行した3枚の12インチ
があった。それが大傑作で、そちらを散々聴いた
あとでこれを聴いた。
その12インチの曲は全て収録。でも音質は
当然12インチの勝ち。ダイナミックレンジが
45回転と33回転じゃ勝負にならん。
また、他の曲がクオリティ落ちているので
少し残念でした。12インチ持ってれば十分
と当時思いました。
でもこれで初めて聴いた人はそんなことは
思わなかったようです。
そんなに通でもない女の子のうちにあそびに
いったらこの盤あったなー。当時のおしゃれ
アイテムでもあったんですね。
故アリフ・マーディンがプロデュース。
ビージーズやホール・アンド・オーツを手がけた。
アベレージ・ホワイトバンドも。
ブリテッシュソウルが、白いソウルが好きな私としては
彼もキーパーソンだ。ノラ・ジョーンズも
手がけてたね。
でもそういう音楽と近い、黒人もブラコンは
駄目なんだよな。うけつけんわ。それを真似た
日本の音楽はもっと駄目だわ。
1. ザ・ワード・ガール
2. スモール・トーク
3. アブソルート
4. ア・リトル・ノリッ
5. ドント・ワーク・ザット・ハード
6. パーフェクト・ウェイ
7. ラヴァー・トゥ・フォール
8. ウッド・ビーズ(アレサ・フランクリンに捧ぐ)
9. ヒプノタイズ
10. フレッシュ&ブラッド
11. アブソルート (12インチ・ヴァージョン)
12. ウッド・ビーズ(12インチ・ヴァージョン)
13. ヒプノタイズ(12インチ・ヴァージョン)
第10回 ドアーズ/ドアーズ(ハートに火をつけて)

ドアーズです。「ハートに火をつけて」です。
この邦題はなかなか秀逸だと思います。
紙ジャケのCDを今でもよく聴きます。
最近ドアーズなんだか良くてね。それこそ
今更何言ってんだと言われそうですが。
ドアーズは歌詞について評されることが多いね。
私はあんまり歌詞には興味ないんです。
あくまで歌と演奏を楽しんでおります。
英語が得意でないこともあるんだけど、
訳詞みるぶんには、英語わかったら、今ほど
ドアーズ好きではなかったかもとも思います。
なんか文学コンプレックスが鼻についたかも。
よく言われることですが歌詞と詩は別もんです。
ジム・モリソンは歌詞を書こうとしていたのか?
それとも詩人になりたかったのか?
ドアーズの演奏はユニークだ。ベースがいない
編成というだけでもユニーク。まぁ、ジャズで
ギター、オルガン、ドラムという編成は珍しくないが
それは上手い人たちがやってる世界。お世辞にも
上手いとは言えない(下手でもないが)彼らが
やるには少し無理があるような。でも、そこがいい。
無理して、背伸びして、技量を超えた長いインプロ
とかするところがいいな。
ジムの文学青年的な歌詞もそういう意味では
背伸び感がいいのかもしれぬ。まぁ英語だから
確かなことわかんないけど。
ジムは歌は上手い。歌唱力はあるねぇ。ここが
ポイント。単なる実験で終わらなかったのは、
ヒット曲だってあるのは、ここによるとこ大きい。
あと、作曲能力とかアレンジはセンスいいねぇ。
ここら辺はチームワークの産物。バンドとしての
魅力です。学生のような初々しさとチャレンジ精神。
ところで日本ではヴェルベットアンダーグラウンド
と並んで語られること多いが、ルー・リードは
不満らしい。ルーはジムの歌詞をまるで評価して
いないんだって。何かわかるような気がする。
どっちも好きだけどさ、並べる気はしないな。
全然違うバンドだよ。
日本のジャックスのほうが近いとすら思う。
ちなみに私、ジャックスそれほど好きではないです。
歌詞が苦手なんだ。日本語わからなかったら
もっと楽しめたかもね。
ドアーズはヴェルベットよりティムバックレー
とかのほうが近いと思う私です。これも比較的
という話にすぎませんがね。
タイトルチューンは他のジャンルの人にカバーされる
ことが多いのも面白いね。ロックとして異形な
曲だよね。そこがいいんだけどね。やっぱあのイントロ
からAメロにうつるとこ、Bメロで、かもんべべらいま
ふぁいやーていうとこ、別々に作ったらしいけど
つながりがスリリングだわ。
あの冗漫なモーダル間奏もすきだわ。暑苦しい寝れない
夜、FENのコンプまみれの音で聴いた思い出がフラッシュ
バックするね。いんやーFENで何回聴いたことだろう!
ヴェルベットは一回もかかるの聴いたことなかったけどね。
まぁ70年代後半のお話ですけどね。
1. ブレーク・オン・スルー. 02:27
2. ソウル・キッチン. 03:33
3. 水晶の舟. 02:32
4. 20世紀の狐. 02:31
5. アラバマ・ソング. 03:17
6. ハートに火をつけて. 07:05
7. バック・ドア・マン. 03:32
8. 君を見つめて. 02:20
9. エンド・オブ・ザ・ナイト. 02:50
10. チャンスはつかめ. 02:14
11. ジ・エンド. 11:43