ピクレルジュラの今更これを聴け

text by ピクレルジュラ                      もどる

 

 

第7回 レッドツェッペリン/プレゼンス

今更、ゼップです。でも悩みましたよ。
どのアルバムにすればいいんだー。1、2、4枚目
あたりが今更感漂います。それでもよかったんだけんど。
リアルタイムで新譜として聴いたアルバムだし、
渋谷陽一絶賛で日本で評価高いし、これにした。
ちなみにセールス的には振るわなかったらしい。
あくまでゼップのアルバムの中で比較的の話。
 オリジナルアルバムのなかで彼ららしさを
感じる最後のアルバムだね。自分のなかでは
ラストアルバムみたいなもんだな。
 キーボードの使用なし。ジョンジーの活躍は
その点封じられた。突貫で作られたらしいし、
ダビングの時間も限られたのでしょう。
 でもジョンジーのベースは、どのアルバムより
素晴らしい。特にフォーユアライフのベースライン
のかっこよさは筆舌に尽くしがたい。
 ペイジはベックのブロウバイブロウにショックを
受けてギターを相当頑張ったらしい。そう思う。
これは彼のギタリスト人生の最後の輝きだ。
 ボンゾはいつも素晴らしいがここでも素晴らしい。
時間のあるなしは彼には関係ない。
 スリーリズムのセッションが基本なんでしょう、
それをそのまま録音して、ボーカルは後から考えて
ダビングしたのでしょう。だから演奏には勢いがある。
 でも最初聴いたときから印象かわらないがボーカル
が浮いている感じがする。プラント怪我してて車椅子
で歌ったらしいが、それが伺えてしまう。
 何か腹使ってない歌い方。歌詞も後付けぽいな。
ゼップは勢いヘッドアレンジ系の曲と天国への階段の
ようなしっかり作曲・編曲系の曲あるが、後者は
アキレス最後の戦いぐらいですね。しかし、これも
アップテンポでギター中心で進む。天国への階段の
ような叙情性はない。ページのギターのアルペジオは
マハビシュヌオーケーストラでのマクラフリンみたいだ。
プラントの影薄い。
 ロイヤルオルアレンは日本のレコード会社のミスで
この読みですが、これはロイヤルオーリアンでしょう。
これはミーターズですよ。ニューオリンズファンクの
ハードロック版。多分ページが「ミーターズみたいなの
やろうぜ」といってセッションしたものにあとから
ボーカルかぶせていっちょあがりだったと思います。
ちなみに私、一番好きなんですが。
 この今更シリーズ、結果的に南部サウンドが共通点
ですが、プレゼンスにもそれがあるんですね。
 ミックジャガーに「一曲くらいできたか?」
ときかれページは「アルバムができた」と答えたくらい
ハイペースだった本作。セッションをそのまま生かした
勢いが魅力なわけです。
 ボーカルが浮いていると書きましたが、これも
のちのラップ・ヒップホップのバックトラック
の概念を先取りしているとも言えますね。
 ありものトラックに後から歌とかラップをかぶせる
感じです。
 だからゼップは古く感じないのかも。

 このアルバムには個人的に苦い思い出あり。
時効だから告白。
 姉がある日、まだ新譜だったこれを借りてきました。
私も横で聴いていてこりゃカッコエエーと思ったのは
良かったんですが…
 姉は借り物のレコードを傷つけてしまいました。
青くなった姉。日ごろ姉には散々な目にあっていた
私ゆえ知らん振りしても良かったんですが…
根がお人よしなもので。
 プレゼンスは2人とも気に入ったんでいずれ
自分たちでも買おうと思ったんです。そこで
私は提案しました。
「これを新たにもう一枚レコード屋で買ってくる。
そして、買ったレコードと、姉が傷つけたレコード
を入れ替え、レコード屋に傷がついていたとクレーム
を言い、傷の無い盤と交換してもらい、それを
貸してくれた人に返却する。どうだ良い案でしょ?」
悪魔のような犯罪計画。中学生のくせに。
姉は止めるどころか私を褒め称え、なぜか実行犯まで
私にさせ(さすがに心臓が爆発しそうだった)、
この酷い犯罪は完遂されたのだった。
 あああ、今日までこのこと忘れたよ。あの傷ついた
盤はどうしたんだろう。レコード屋では損しない仕組み
だったとは思うが良心が痛む…。


1. アキレス最後の戦い
2. フォー・ユア・ライフ
3. ロイヤル・オレルアン
4. 俺の罪
5. キャンディ・ストア・ロック
6. 何処へ
7. 一人でお茶を

第8回 P.I.L./メタルボックス

 

ニューウェーブ代表で。PILです。
はじめは缶に入った12インチだったんだよね。
自分はそれを買い逃したんで、LP2枚組みの
セカンドエディション買った。

 大抵の人が感じたことでしょうが、この作品
の主役はベース。ジャー・ウーブルカッコええ。
ダブ的ニューウェーブなんだけど、ライドンの
歌は果てしなく陰気。ジャーマンロック好きが
表出してる。マルコムムーニーみたいな印象。
 思えばこれもデプスロックですねぇ。流石に
南部サウンドの影響はここにはない(笑)

 ライドンがオーディオ・マニアだと言う事を
このアルバム発売の頃インタヴューで知った。
「俺のカセットデッキはナカミチだぜ」と自慢
していた。パンクロッカーとオーディオマニア
という組み合わせは意外だった、かなり。
「日本の木造の家はこのベースサウンドで
ゆれちゃうぜ。」とも言っていた。私はここに
興味をもってこれを買ったのだ。
 このアルバムは再生装置を選ぶ。ラジカセや
アイポッドでも良さはわかるが、できれば中級
以上のオーディオセットで、そしてCDでは
なくアナログで聴きたいところ。
 アナログで聴くベースサウンドをCDでは
どうしても再生できないからね。
 オリジナルの12インチでも聴いてみたい。
ベースを中心とした音楽を再生する最強のメディア
それは12インチもしくは…

カセットテープだ。

ピストルズはラジオで聴いて、こんなもんか、
という感想でした。ギターソロのないハード
ロックみたいだなーとか、でもこのアルバム
聴いてから、もしやと思い、ちゃんとLPで
聴きなおしたところ…カッコエエーと思いました。
サウンドメイクが重要な音楽だったと遅まき
ながら認識したのでした。

1. Albatross
2. Memories
3. Swan Lake
4. Poptones
5. Careering
6. Socialist
7. Graveyard
8. The Suit
9. Bad Baby
10. No Birds
11. Chant
12. Radio 4