ピクレルジュラの今更これを聴け
text by ピクレルジュラ もどる
第三回 ローリング・ストーンズ/レット・イット・ブリード

1969:
今更感満載でお送りします。ローリング・ストーンズです。
しかもレット・イット・ブリードです!
言うまでもなく名盤です。ロックでまず聴くべきものは
と訊かれたら誰にでも自信持って薦めちゃう。
これも中学生の頃から聴き続けてますが飽きないねぇ。
ゼップとかフーとかも良く聴きました。名盤も
あります。でも正直、これほどずっと新鮮に聴ける
ものはないんだねぇ。
ストーンズでも他にいくらでも名盤あれど、これに
は及ばないと私は思います。
まぁデータ的なことをいくら書いてもこんな名盤について
は語りつくされているので無駄。他をあたってください。
とにかく聴くしかない。駄曲は一つもない。すべて重要。
ミックテイラーは加入したて。ブライアンジョーンズが
参加した最後のアルバムでもあるねぇ。
ブライアンの貢献があったのかよくわからんが、彼の参加した
2曲が私としてはハイライトなんだね。特にキースの歌う
ユーガットシルバーは基本カントリーなんだが…オルガンの
間奏、スライドギターにかけられたリバースエコーが最高に
効果的。カントリーともカントリーロックとも違う狂気
の世界。最高です。
そうそうサウンドプロダクションが完璧なんです、この盤。
特にB面の曲がそうなんだ。
1969年って名盤多いね。ロックはある意味ピークを
迎えている頃だね。ロックの分岐点でもあるようにも思います。
英米問わず、R&Bやロックンロールを白人がやりました
という60年代のはじめ。
サイケリックという「発明」で白人ならではの「ロックンロール」
というより「ロック」のアイデンティティを確立した1967年。
ルーツ音楽を再発見し、アーシーで泥臭い感覚を白人的
洗練で聴かせる1969年ってな感じ?このころ南部サウンド
ってキーワードだよね。
乱暴に言えば以上のような流れがあってストーンズは
典型的に、このトレンドの中にいた。昔から流行に敏感。
でもストーンズはこの後もトレンドに敏感ながらも
基本的には、この盤で見つけたものをベースに音楽を
やってる。スティキーフィンガーズあたりで完全に
いわゆる2本のギターのからみで作るストーンズスタイル
ができけど、この盤では、そのスタイル完成の一歩前という
ところがいいのかもしれん。
1969年以降のロックっていろいろ、何とかロックっ
てのが百花繚乱ですが実は2種類しかないのかもしれん。
それはルーツ音楽から近いものと、遠いもの(プログレ、
ハードロック、ヘビメタなど)、の2つである。
67年には大抵みんな一緒にサイケの洗礼をうけたが
69年あたりからルーツというか泥臭さという点で
2つのベクトルが生じたように思うのだ。
そして2つとも70年代後半にはパンク勃興という受難
に出会うのだった。
パンクはプレサイケデリックといえる60年代のガレージの
ルネサンスの趣もある。ループしたみたいで面白いね。
ストーンズを叩き台に個人的ロック史観を語ってみましたが
…改めて思うがストーンズはすごい。
ルーツ的なものというテーゼと非ルーツ的なアンチテーゼ
をアウフヘーベンして「悪魔的」なストーンズサウンドが成り立って
いるのだ。
表面的なスタイル・価値観を超越して「悪魔的な」エッセンスを
抽出している。
山羊の頭はぐつぐつ煮えたって、灰汁をとって、とれたダシは
今も美味ということで。
1ギミー・シェルター - Gimme Shelter 4:31
メリー・クレイトンがバッキング・ヴォーカルで参加。
2むなしき愛 - Love In Vain (Robert Johnson) 4:19
ライ・クーダーがマンドリンで参加。
3カントリー・ホンク - Country Honk 3:07
4リブ・ウィズ・ミー - Live With Me 3:33
レオン・ラッセル、ニッキー・ホプキンスがピアノで参加。
5レット・イット・ブリード - Let It Bleed 5:28
6ミッドナイト・ランブラー - Midnight Rambler 6:53
7ユー・ガット・ザ・シルバー - You Got The Silver 2:50
キース・リチャード初のリード・ヴォーカル曲。
上記二曲はブライアン・ジョーンズ最後の参加作品。
8モンキー・マン - Monkey Man 4:11
9無情の世界 - You Can't Always Get What You Want 7:29
ジミー・ミラーがドラム、
アル・クーパーがフレンチ・ホーン、ピアノ、オルガンで参加。
第4回 THE WHO/WHO’S NEXT

THE WHOでございます。WHO’S NEXTでーす。
いまさらー!こんな名盤について何が語れる!
語りつくされてる感がありますな。ライフハウスという
コンセプトアルバムが頓挫してこれになったとか、
使用機材もマニア心くすぐるよね。シンセとか謎のオルガン
とかさ。
そういう話はよそでしてくんな!録音裏話だってDVDまで
出てるし、それ見れば~(投げやり)
いや実際データ的なことならサイトにいっぱい只で見れる
情報満載でござんす。
フーはこれに限らず、ボーナストラック一杯の「完全版」
とかいう阿漕な商売していて背景を察することにもヒント
ありすぎという状態。
こういう盤についてはだな、聴き手の極私的な思い出話でも
したほうが今や意味があるんでないかい。
フーは70年代の日本において特殊な位置にいた。有名で
雑誌なんかでも記事が良く見られた割に、レコードは売れて
いなかったようだ。70年代の日本のロックファンのイメージ
としては映画ウッドストックでのギター破壊シーンの印象が
強すぎて音楽性よりもそういう話題が先行しすぎていた。
むろん、フーの音楽の繊細な部分に気付いている人も少なく
なかったろうが、一番好きなバンドと思い入れる人は少数派
だったろうね。
むしろ、60年代からブリテッシュロックを意識的に聴い
てきた人は違ったかもしれないが。
まぁ来日が遅すぎたしな。ゼップが来日した頃くらいに
きてりゃ評価は違ってたかもな。何せ、69年頃から
70年代前半のフーのライブは素晴らしい。残された
映像や音源からそれは十二分に伺えるのだ。
このアルバムも良いがライブ・アット・リーズも良い。
フーのライブの醍醐味が堪能できる。
前回書いたことで1969年が特別な年なんてのがあった。
これフーにもいえます。ノリが変わるんです。ぐっと
重くなるんですよ。それ以前のやや突っ込みすぎのリズム
も好きですが。重くなってからのフーがやっぱ好きだわ。
それとライブでのノリとスタジオ録音の明瞭さ。これの
両立は大変だが、まずこれに最初に成功したのがこの
アルバムなのではないか。
聴けばすぐわかるライブ感。かつ、分離良く、音圧も
豊富な録音の良さ。
今ではピートのソロ「スクープ」とかブートとかで
このアルバムに向けてピートがすごく計画的にデモを
作っていたのがわかる。でもバンドで録音するときは
あまりリハをせず、細部気にせず勢いで演奏し、それを
録音したそうな。多分、テイクもそんなに多くは録らなかった
のではないか。
多分バンドでボーカルも一緒にせーので一発で録ったのでは。
まちろん一発と言ってもマルチマイク、マルチトラックで
楽器間のかぶりを抑えるパーティションとかもあったでしょうけど。
ピートの頭にはしっかり設計図があるものの、デモを細部
にわたり再現しようとはしなかったのだろう。
メンバーのモチベーションが高いうちにガーっと録って
しまったのでしょう。
あと時代もあるがドラムが以前のアルバムに比べ格段に
音質良い。トラック数だけではないでしょう。いまだ
秘密にしている工夫があったに違いない。
デモはディレクションとかプロデューサーやエンジニア
とのコンセンサスを得るために使われた可能生もあるね。
すごいぜピート。彼のデモはすんばらしいので本編を
聞いた後是非聴くことをお勧めします。
それにしてもこのアルバム、コンプレッサーとリバーブ
の使い方最高です。一曲目のピアノの音だけでちびります。
なんとも上品なイギリス風コンプレッション。
2曲目のシンセにかかるリバーブも極上。エンジニア志望の
人はこの盤避けて通れんよ。
あとねアコギの録音が良いんだ。マイクも良いだろうが
これもコンプが上手いんだ。多分ね。
ジャケも良い。曇ったようなサウンドとピッタリ。
こんな音と合ったジャケはないぜほんと。
自分は1980年に映画さらば青春の光を見たことが
きっかけでフーに興味をもった。高3のとき学校サボって
新宿で見た。映画館の前にべスパが飾ってあった。
ジャムとか、ネオモッズの動きもあった。映画には
ポリスのスティングが大事な役で出ていた。
自分のなかではジャムもポリスもクラッシュもフーと
横並びだった。時代は関係なく、フーもフレッシュな
バンドだったのだ。ちゃんと聞いたことなかったからね。
聴いたことあったのはマイジェネレーションとか
サマータイムブルースくらいだったからね。
いきなり、映画と関係ある四重人格とかトミーとか
聴くのは躊躇した。理由は簡単で2枚組だったから。
だからジャケがカッコいいこれを聴くことにした。
とはいえ買ったのではなく借りたのだ。貸しレコード屋
でね。京王線の仙川駅周辺にあったロンディーノという
貸しレコード屋。ここにはお世話になったぜ。(ロンディーノ
で借りたレコードを語るシリーズを次にはじめます)
いやー聴いたとたんノックアウトされましたね。
全曲いいんだもんなー。1曲ジョンの曲あるが(マイワイフ)
これがまたいいんだ。
これ録音したカセット何回聞いたことか!この
アルバム、トータルでもコンプ効いてるせいか、カセット
に録音した音がまたいいんだ。
その後アナログで2回、CDでも2回買ったぜ。
その後、日本でもようやくちゃんとオリジナル盤の
リィシューが進んだり(すぐに廃盤だったがね。)
突然、フーの本が訳されたりね。
日本では、フーは80年代のバンドなんだね。
自分も80年代になってから初期から全て買い揃えたよ。
セカンドやサードも好きになったよ。
でも日本で昔から名盤扱いのトミーとか四重人格は
嫌いじゃないが、他のアルバムに比べると・・・
自分はコンセプトアルバム駄目なのかも。
だからフーズネクストもコンセプトアルバムになりそこねて
かえって良かったのかもね。密度が濃くてさ。
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